山岳の標識について、ご意見募集しています。
今期、大雪山の誘導標識を少しだけ「補修」することになりました。
大雪山の標識は文字の読み取れない物や英語表記がないものなど、風化・劣化や、時代に合わない表記のものが多くなっています。
2利用者の変化と対応 (4)
・設置されてから数十年は経過している大雪山の誘導標識。
・日本語表記しかなく、文字もかすれて見えないものもある。
・標柱や文字盤の板はかなり丈夫な木材を使用している。


現状では行政職員やボランティアの手弁当でラミネートを貼る簡易補修が行なわれていますが、根本的な解決にはなっていません。
管理者である行政も、なかなか山岳管理の予算は少なく「交換」ができない状態です。

4-1.誘導標識1~9-1 - コピー
・ラミネートなどで補修された標識。1~2年で破けてしまう。
4-1.誘導標識1~9-1





そこで、現状の標柱部分は利用しつつ、表示板のみの刷新を行なうことになりました。
今回は北海道(上川総合振興局)からの業務として、北海道管轄の誘導標識を補修します。

<補修事例>
現状の文字盤面に新たな表示板を重ねて固定する方法。
2020年に試験的に大雪山の2か所の標識を交換してみました。
今期はさらに十数か所の補修を予定しています。
写真上補修前・下補修後

IMG_7006
IMG_7011


しかしながら現在は20年前と比べると、標識に求められる内容が変わってきているように感じます。

地図を持たず、スマホですべてを見る登山者が多くなっている今日。
増える海外からの登山者。
昔のような各所の独自の表記から国立公園としての統一性を持ったデザインが求められてもいます。

・インバウンド対応は当たり前の時代
2利用者の変化と対応 (1)
・道迷いだけでなく、地域によっては火山活動時の緊急性なども考慮する必要がある。
熊本・阿蘇山
IMG_9099
IMG_9108
・地図を表記している標識も多くなっている。
小笠原諸島・母島
IMG_1253

現状でも行政が作ったガイドラインはありますが、
猛烈に変化している情報表示やSNSに対応しているガイドラインではないように感じています。

<近年改修された大雪山の標識>
・大雪山においても改修された誘導標識はあるが、ヒグマによって齧られる被害が多い。
場所によっては木材が半分ほどになっている場所もあるが、補修されていない。
・強風による風砂や、雹などが当たることによる摩耗で、風衝地での木材の塗装は一冬で取れてしまう。
・これらの設計を担当しているコンサルタントが、山に対する知識や経験が少ない場合、耐久性に課題があったり、地元にあったデザインを模索するよりも規格されたデザインを踏襲する場合が多く、地域の文化や環境に適した標識にはならないことも多い。
IMG_5032




標識や安全管理の機能をしっかりと保ちつつ、地域の文化を感じとれるものであり、時代に合わせて変化し、景観の一部として美しさもある。景観だけでなくそのような標識のある場所を、地域の人が誇りに思えるものにできるよう、いつか始まるであろう標識の「交換」作業のため、この機に登山者からのご意見を共有し、行政、民間、登山者交えて議論していきたいと思っています。

また、誘導標識を本当に必要とするのは、行政でも地元の登山ベテランでもありません。
登山初心者や、初めてそこに登る人です。
地元の人や玄人は標識が無くても迷わないんですね。
こういう議論をするときには、地元のベテランが集まった会議になりがちですが、様々な立場や視点からの意見も非常に大切だと考えています。

<参考・・海外の標識>
ブルガリア ヴィトシャ山 ピリン山脈・フィンランド
(NPO アース・ウィンド横須賀邦子さん提供)
・文字や形などのデザインによって、海外の風土を感じることができる。
画一的、合理的過ぎても面白味が少なくなるように感じる。
ビトシャ山
ピリン山脈
フインランド



将来的には日本の国立公園も「入山料制度」が当たり前になってくると思います。
これだけ荒廃が続く山岳地では、国民の税金だけでなく、利用する人の負担も山岳管理に欠かせないものとなってきます。
その時には登山者も「こういう山になるべき」という意見を積極的に伝えるべきだと考えます。
自分のお金が管理に使われるならば、使い方も使い道も一緒に考える機会が必要ですね。
今回は大雪山の標識補修ではありますが、
「標識とはどうあるべきか」
「こんなデザインが良い」
「こういう標識は良かったよ」
などなど、意見や写真だけでも、いただければうれしく思います。

IMG_6930
6月15日頃までにご意見をいただければ、その後にある大雪山の関係者間の会議で公表・共有することができます。
匿名・記名どちらでも構いません(会議の議事録に資料として保存、公表されます)。
山岳管理を皆様と一緒に考えられるきっかけにしてみたいと思います。
どうぞよろしくお願いいたします。

合同会社 北海道山岳整備、一般社団法人 大雪山・山守隊 代表 岡崎哲三

ご意見は、このコメント欄か  sangakuseibi@potato.ne.jp (岡崎)までお願いします。

<今、こんな意見をいただいています>
・国立公園として統一感のあるデザインにすべき
・ラミネート補修は安っぽく、国立公園そのものの価値を下げてしまう
・白面に黒字などもっと視認性を良くして
・標識も都度補修や交換をしていくべき
・アイヌ語の表記も入れ北海道文化としての発信も
・QRコードを表記し、現在地を俯瞰して見られる映像を入れるのはどう
・管理者である行政はしっかりと指導的立場で責任を取るべき   などなど

コメント

コメントフォーム
評価する
  • 1
  • 2
  • 3
  • 4
  • 5
  • リセット
  • 1
  • 2
  • 3
  • 4
  • 5
  • リセット