大雪山の作業が終わりかけたころ、
もう一つの現場が始まりました。
愛別町にある石垣山というところ。
雰囲気のある登山道と
迫力のある石垣がとても魅力な山です。
クライマーも多く、きれいに掃除されている壁もあります。
オーバーハングした岩が飛び出す壁。
よく登れるなぁ、と感心します。
愛別町では毎年、登山会で小学生たちが登るようで
町の山として草刈りはしっかりと行なわれています。
そんな山ですが、この岩壁のとある場所に
間宮林蔵や松浦武四郎が泊まったと言われる岩屋があります。
諸説あり、本当かどうかわかりませんが、夢があります。
登山道から数十m、かなりの急傾斜の斜面を登ったところにそれはあります。
その場所は見つけるのが難しく、
けもの道のような踏み跡がついているだけの道でした。
今年愛別町から、岩屋までの道をつけてくれないか、との依頼がありました。
斜面を見た瞬間、「オイオイキビシイゼ」と思いましたが
よく見ていくと・・・見えました。
難しい斜面に少しだけ、動かぬ場所が。きっかけになる場所が。
これが見えれば何とかなります。
とは言え、いろいろキビシイよ。何よりも荷上げがキビシイ。
でも今年はハードな作業を求める山男たちがいました。
キビシイ荷上げもクリアできそうです。
直径20㎝、長さ6mの一本ままの木材が必要。
ふつうはあり得ない作業ですが、よくやります。
どの地域でもやりますね。
苦しいことは乗り越えるもんだ。
ものすごく大変だったけど、きっと違う場所でもこの経験が役にたつはず。
長い木材だけでなく、短いものも必要。
約80本、1回4~6本(30~50㎏)。
助かりましたぜ。
施工前。こう見えて急斜面。四つん這いで歩きたいほどなんです。
太く長い木材で基礎をつくる。テンションを下にかけつつ、繋げていきます。
短い木で階段を作る。約130段の木柵階段。杭は1本も使っていません。
カスガイは使うけど、カスガイが取れても
荷重がかかれば木が動かなくなるように作ってあります。
「近自然工法」
自然の作用を利用して強度が強くなっていく方法です。
ちょうど完成した日、久しぶりの登山者。
何やら斜面をガサガサしていたと思ったら
「この辺に洞窟はありませんか?」と聞いてきた。
ナイスタイミング「今、そこまでの道ができたところだよ」と
登ってもらいました。
不安なく登ってくれました。
岩屋への途中、こんな場所もあります。
岩盤の隙間、人が一人やっと通れる隙間の先には・・
愛別と石狩川を一望できる場所が。
難なく岩屋へ到着。
施工前は自分も滑り落ちないよう、必死で登っていた場所でした。
しっかりと登山道が完成。ですが通いながら思っていました。
この岩屋よりもこの石垣山の雰囲気が素敵でした。
紅葉時期に施工させてもらい、久しぶりの森でした。
実は昨年、この場所を施工してます。もう自然に成りました。嬉しいかぎり。
町に近く、アプローチが簡単で、森の雰囲気と素晴らしい石垣。
毎年行きたい場所になりました。
北海道でここまで難しく、技術とアイデアを駆使した場所は久しぶりです。
急斜面の作業場所は作業自体もかなりの危険がありました。
スタッフにもときに怒声を浴びせます。
気を抜くと、ケガする、ケガさせるほどたくさんの危険。
いつもここに来ると、気が張り詰めて集中したなぁ。
だけどこういう作業こそ、技術が身に付く。
山守隊スタッフも怒号にビビらず、経験を積んでほしいところです。
施工完了し、愛別町の担当者と現場確認したとき
歩いた担当者が
「これは数百万の仕事でしたね・・・ボランティアみたいな値段でしたね」だって。
フフフ・・今度は高いよ!!
おかざき
コメント
コメント一覧 (2)
迫力のある岩の壁、まさに圧巻の一言です。
山守隊さんが作られた階段ですが
本当に登りやすく最近作られたと思えないくらい
自然な感じがしました。
自然にある石などは上手く活用されていて
かつ 要所要所に流石と思うような丸太の切込みや同じ大きさの石を縦にして階段の足場にされていたりと
登る人の目線にたって作っていただいたているのが ひしひしと伝わりました!
いつも登山道が整備されているのを見て
勿論感謝もしてますし凄いなと思ってはいましたが
こんなに 作られた方々の想いを感じたのは
正直初めてです。
今回は一人できましたが
次は嫁を連れてまたきます!
山守隊の方々のご苦労を考えると簡単に
ありがとうございましたで片付けるのは
失礼かもしれませんが
毎年、石垣山に訪れて感謝の気持ちを持ちながら
この階段を登ろうと思います。
本当にお疲れ様でした!
良い山を教えていただきありがとうございました。
整備した場所も見ていただき、ありがとうございます。
近自然工法は自然に合わせた方法とは思いますが、登山道は人が登るために作られたものです。人の利用も自然の成り立ちもバランスよく考えなければ良い道にはならないと考えています。
とても難しい課題ですが、自然の中にヒントがたくさんあり、普段の自分の歩き方の中にもヒントがたくさんあります。答えは一つではありませんが、形にできた時、それが自然の一部になっていったときは大きな達成感があります。たくさんの大変さはありますが苦労と思ったことはありません。
これからも自然への感謝を持ち、楽しく作業し、苦労へ挑戦していこうと思います。
いつかイベントなどでご一緒出来れば嬉しいですね。