大雪山・山守隊 スタッフブログ

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大雪山・山守隊の岡崎です。
2月23日、東京神保町にて行われた日本山岳遺産サミットにおいて
日本山岳遺産認定式に参加し、大雪山黒岳の認定を受け、
大雪山・山守隊の活動報告を行ないました。

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日本山岳遺産基金は、ヤマケイで知られる株式会社山と溪谷社と、
株式会社インプレスホールディングスを正会員として様々な賛助会員からなり、
日本の山々がもつ豊かな自然・文化を次世代に継承していくために設立された基金です。
これまでに30ほどの地域と団体を認定し、助成を行なっております。
今期は12団体からの申請があり、4団体の認定。
北海道からは黒岳(山守隊の登山道保全活動)と
トムラウシ(新得山岳会のトイレ問題対策)が選ばれました。

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7分間しか話せず(実際は9分話す)、
ほんの少しだけしか紹介できませんでしたが・・
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イベントに参加してくれる方々の熱意を話したつもりです。

認定式には新得山岳会の小西さんや振興局の牛嶋さん、愛甲先生も。
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北海道以外には飯豊朝日の植生復元の取り組みも。
井上さんをはじめとするこの地域の取り組みは大雪山でも大いに参考にしております。
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ヤシ土嚢からの植生の復元を見ても、歴史と試行錯誤が見てとれます。
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もう一つの認定地が栃木県の岩山(起動パトロール隊)。
次世代とはこういう人たちのことだなあ、と思いました。
いろいろびっくりがあり過ぎて一言では言えませんが、
いつか大雪山にも来て話をしてもらいたいと思っています。
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特別講演には北大の工藤先生が大雪山の環境変化についてお話してくれました。
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まあ面白い、大いに参考になる、知りたいことがたくさんある。
いろいろなアイデアが頭を駆け巡りました。
また是非聞きたいお話の数々でした。
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その後の懇親会ではたくさんの団体の方々とお話が出来ました。
普段各地の課題ある地域に行って講演するときなどは
地域の方々は「問題があってどうしようもないんだ」という雰囲気が多いのですが、
ここに集まっていた様々な取り組みをしている方々のそれはとてもパワフルで、
どの地域も、「問題があるならば解決しよう」という前向きな力強さがありました。

人の思いの力、人とのつながりの大切さを
改めて感じ取ることができた機会となりました。


今回認定された黒岳での活動は2年間続いていますが、
地元上川町をはじめ振興局、環境省、林野庁などの行政の協力や
りんゆう観光さんや秀岳荘さんなど地元企業の応援は心強いものでした。
北大の愛甲先生やコンサルの方々の意見も常に聞き、
民・官・学が協働で活動したものだと思います。
何よりも多くの登山者の方々の参加が、
官・学・企業を動かしてくれる原動力になっていると思います。

これからも登山者や地元の方々の大雪山への思いが、
しっかりとした保全活動につながるような取り組みを行なっていきたいと思います。


冬山の季節になってきましたが、なかなか本格的に雪は降らないですね。
山守隊代表の岡崎です。
山守隊は空き家リフォームしたり(楽しい)、
報告書を仕上げたり(苦しい)、
企画書を作ったり(苦手)・・・。
最近は来季へ向けての会議が多くなっています。

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この会議もその一つ「登山道ワーキンググループ」なるもの。
これは、いろいろな人が登山道整備に関われるようにするため、
ルールを設け、手順を守り、技術ある整備が適切にできるよう、
管理者と施工者が専門家を交えて施工の良し悪しなどを考えていく会合です。

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今年始まったばかりで課題は多々ありますが、うまくいけば
大雪山の施工レベルが上がり、過剰整備やあまりにもバランスがとれていない整備が
少なくなっていく可能性があります。

メンバーには管理者である行政のほか、施工に関わる関係者、
地質の専門家、公園管理の専門家、植物の専門家などなど。
自分も施工者として、また近自然登山道工法の専門として加わっています。

だけど内容はなかなかに難しい。
現状の登山道整備には「基準」がなく、過剰整備だろうが不足整備だろうが
施工直後にある程度歩きやすければ「問題ない施工」として認められます。

その後の侵食作用に耐えうるのか? 植生への負荷や回復は? 
自然環境とのバランスはとれるのか? 景観を変えすぎていないか?
登山道整備は本当に難しく、自然や生態系の知識はもちろん
景観との調和という感性も必要です。

全国各地を見てみると、侵食と保護のバランスがとれていない整備や、
過剰整備で元の景観が変わってしまっている地域もあります。
施工後に「これで良いのか」と議論になる地域もあるほど。
だけどその前段階には、どの地域も「直さねばならない」というひどい状況があり
「山のために・・」という「善なる思い」がいろいろな行動を作っているんです。

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山への善なる思いが、過剰整備につながり、景観を変え、
自然に近い歩道が人工的な道となってしまうのは悲しいことです。

大雪山でも過去には、設計者と施工者が金額的にも体力的にも
本気で頑張った結果「間宮城」が出来ました。
登山者や関係者からは「なぜあのようになったんだ!!」と散々でしたが
設計者も施工者も「本気で考え全力でやったんだ!」と批判に耐えていました。
景観にも地質的にも現場に合わない施工でしたが、
誰が良い悪いという話ではないように思いました。

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「山のために」と考えて「お金」を使い、いろいろな人の「労力」を使うならば
山に関わる人や地元の人の合意が必要だと思います。

スイスで始まった「近自然河川工法」では、河川を施工する前には
地元住民と施工後の将来的なこともしっかりと話し合いをし、
地元民と「こういう川にしていきたい」という合意をもって施工を進めると聞きました。

本来は山でも将来のことを考えて行動すべきなんです。
「近自然登山道工法」でも植生の復元は重要事項です。
高山帯での植生復元は数年どころか数十年でも結果が出るかどうか・・。
現状の施工計画は、単年度ですべて完了し次年度以降はまたいつか、という感じですが
将来を見据えた施工はどうしても必要なんです。

今回の会議では、もっと小規模な施工ながら
いくつかの具体的な場所の対処方法が検討されました。
自分も写真や動画を見せながら、侵食原因を特定し、
そのために必要な最低限の施工を提案したり、
難しい場所は無理に施工せず、専門家を交えて講習会をしよう、などなどを提案。IMG_20181216_113040
場合によっては「施工したい!!」という勢いを止めることもあります。
その施工方法ではかえって侵食が起きる、という場合には
その人の気分を害してでも「否!」と言います。
本当はすべてに「イイネ」と言っているほうが嫌われずに楽なのですが・・。

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だけどこの会議は本当に勉強になると思います。
施工をしたい人や勉強したい人にはぜひ参加してほしいところ。
今のところ参加者を少なくしているけれど、本当はすそ野を広げるべき。
誰もが知識を持ち、技術がなくとも判断はできる状態になれば
おかしな施工は減り、大雪山全体の施工レベルは向上すると思います。
現在、環境省がこのやり取りをまとめてホームページに掲載する方向で動いています。

山守隊は施工者として、様々な人の善なる思いが過不足ある結果にならぬよう
努力しなければならないと思っています。
ボランティアの方々の想いや行動が、正しい形で自然に受け入れてもらえるように
自然観察を徹底し、間違いあれば反省し、うまくいったら共有し・・。

せっかく労力をかけた努力の結果が、
新たな侵食を生んだり人工的な景観になってしまうと
批判されるほうもするほうも悲しむべき状況です。
(自分を含む責任者にはキッチリ批評してください)

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近自然工法を勉強し続けてわかったこと。
正しい「考え方」というよりも、「自然の成り立ち」が正しいのだと思う。
自分が正しいと思っても自然が違うと言ったら施工物は崩れる。

成り立ちを知る自然観察は、謙虚に、
とにかく謙虚にならなければ、見えないのだと思う。


7月下旬に販売された雑誌「スロウ」のウェブマガジンです。
このほかにも、山の保護や利用を本気で考えて実行している方々の記事もあります。
買って読んでほしいです。

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山守隊.1
http://n-slow.com/webmagazine/trekking/994/

山守隊.2
http://n-slow.com/webmagazine/trekking/1004/

山守隊.3
http://n-slow.com/webmagazine/trekking/1013/

自然保護の新たな視点に目を向けてくれた
ソーゴー印刷株式会社クナウマガジンさんに感謝です。

7月15日の北海道新聞を見ていたら、
裾合平のポールマーキングに来てくれた人が載っていました。

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GPS付の時計をカッコよく使いこなしていた人です。
道警きっての山のエキスパートだったんですね。
その後、大雪山の情報交換会にも顔出ししてくれました。
これからの大雪山でとても頼りになる人だと思います。
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となりには道警の活動の記事も。
山守隊としても協力していきたいと思います。
おかざき

 どうも、すがわらです

 今日は朝からあまりよくないニュースが

  昨年(2017)は山での遭難件数・遭難者数・死者不明者が最多だそうです。
 https://mainichi.jp/articles/20180621/k00/00e/040/231000c

 遭難件数は北海道が全国で2番目に多いようです


 今度の裾合平の道つけで、周辺の道迷いを防げたらいいのですが…



すがわら けいすけ

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