大雪山・山守隊 スタッフブログ

カテゴリ: 山での作業

冬山の季節になってきましたが、なかなか本格的に雪は降らないですね。
山守隊代表の岡崎です。
山守隊は空き家リフォームしたり(楽しい)、
報告書を仕上げたり(苦しい)、
企画書を作ったり(苦手)・・・。
最近は来季へ向けての会議が多くなっています。

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この会議もその一つ「登山道ワーキンググループ」なるもの。
これは、いろいろな人が登山道整備に関われるようにするため、
ルールを設け、手順を守り、技術ある整備が適切にできるよう、
管理者と施工者が専門家を交えて施工の良し悪しなどを考えていく会合です。

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今年始まったばかりで課題は多々ありますが、うまくいけば
大雪山の施工レベルが上がり、過剰整備やあまりにもバランスがとれていない整備が
少なくなっていく可能性があります。

メンバーには管理者である行政のほか、施工に関わる関係者、
地質の専門家、公園管理の専門家、植物の専門家などなど。
自分も施工者として、また近自然登山道工法の専門として加わっています。

だけど内容はなかなかに難しい。
現状の登山道整備には「基準」がなく、過剰整備だろうが不足整備だろうが
施工直後にある程度歩きやすければ「問題ない施工」として認められます。

その後の侵食作用に耐えうるのか? 植生への負荷や回復は? 
自然環境とのバランスはとれるのか? 景観を変えすぎていないか?
登山道整備は本当に難しく、自然や生態系の知識はもちろん
景観との調和という感性も必要です。

全国各地を見てみると、侵食と保護のバランスがとれていない整備や、
過剰整備で元の景観が変わってしまっている地域もあります。
施工後に「これで良いのか」と議論になる地域もあるほど。
だけどその前段階には、どの地域も「直さねばならない」というひどい状況があり
「山のために・・」という「善なる思い」がいろいろな行動を作っているんです。

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山への善なる思いが、過剰整備につながり、景観を変え、
自然に近い歩道が人工的な道となってしまうのは悲しいことです。

大雪山でも過去には、設計者と施工者が金額的にも体力的にも
本気で頑張った結果「間宮城」が出来ました。
登山者や関係者からは「なぜあのようになったんだ!!」と散々でしたが
設計者も施工者も「本気で考え全力でやったんだ!」と批判に耐えていました。
景観にも地質的にも現場に合わない施工でしたが、
誰が良い悪いという話ではないように思いました。

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「山のために」と考えて「お金」を使い、いろいろな人の「労力」を使うならば
山に関わる人や地元の人の合意が必要だと思います。

スイスで始まった「近自然河川工法」では、河川を施工する前には
地元住民と施工後の将来的なこともしっかりと話し合いをし、
地元民と「こういう川にしていきたい」という合意をもって施工を進めると聞きました。

本来は山でも将来のことを考えて行動すべきなんです。
「近自然登山道工法」でも植生の復元は重要事項です。
高山帯での植生復元は数年どころか数十年でも結果が出るかどうか・・。
現状の施工計画は、単年度ですべて完了し次年度以降はまたいつか、という感じですが
将来を見据えた施工はどうしても必要なんです。

今回の会議では、もっと小規模な施工ながら
いくつかの具体的な場所の対処方法が検討されました。
自分も写真や動画を見せながら、侵食原因を特定し、
そのために必要な最低限の施工を提案したり、
難しい場所は無理に施工せず、専門家を交えて講習会をしよう、などなどを提案。IMG_20181216_113040
場合によっては「施工したい!!」という勢いを止めることもあります。
その施工方法ではかえって侵食が起きる、という場合には
その人の気分を害してでも「否!」と言います。
本当はすべてに「イイネ」と言っているほうが嫌われずに楽なのですが・・。

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だけどこの会議は本当に勉強になると思います。
施工をしたい人や勉強したい人にはぜひ参加してほしいところ。
今のところ参加者を少なくしているけれど、本当はすそ野を広げるべき。
誰もが知識を持ち、技術がなくとも判断はできる状態になれば
おかしな施工は減り、大雪山全体の施工レベルは向上すると思います。
現在、環境省がこのやり取りをまとめてホームページに掲載する方向で動いています。

山守隊は施工者として、様々な人の善なる思いが過不足ある結果にならぬよう
努力しなければならないと思っています。
ボランティアの方々の想いや行動が、正しい形で自然に受け入れてもらえるように
自然観察を徹底し、間違いあれば反省し、うまくいったら共有し・・。

せっかく労力をかけた努力の結果が、
新たな侵食を生んだり人工的な景観になってしまうと
批判されるほうもするほうも悲しむべき状況です。
(自分を含む責任者にはキッチリ批評してください)

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近自然工法を勉強し続けてわかったこと。
正しい「考え方」というよりも、「自然の成り立ち」が正しいのだと思う。
自分が正しいと思っても自然が違うと言ったら施工物は崩れる。

成り立ちを知る自然観察は、謙虚に、
とにかく謙虚にならなければ、見えないのだと思う。


だいぶお久しぶりとなってしまいました〜菅原です〜
前回のブログは10月28日と、あと少しで1ヶ月もブログ放置するところでした…
危ない危ない…
そんな長い間何してたかというと、皆さんお察しの通り 「報告書作成」をしておりました
夏に頑張ると冬も頑張らなきゃいけない山のお仕事
もっと頑張って通年のお仕事にしたいっすな
「お、ブログ書いてるということは、報告書終わった?」と思うでしょ〜
















まだなんですよ〜 

ずっと報告書作成してばかりでは
みなさんに忘れられてしまうので
少し動画を作りましたので、暇つぶしにどうぞ
 

おかざきです。
10月24日、25日
長野県戸隠高妻山と雨飾山で登山道整備技術講習を行なってきました。
昨年に引き続き2度目の講師役です。

大雪山の業務はあらかた終了しましたが、膨大な報告書作成があります。
ですが今シーズンは下條さん菅原君に押し付けてます。
いつもは年末までやっているけれど、気が付けばだいたい目途が付いている。
すごいね、自分は現場は強いけど報告書は苦手なんだ・・・。
心強いかぎりです。二人とも風邪ひいてますが・・・。

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出発の日、台風にも吹雪にも強い旭川空港。
だけどまさかの5時間遅れ。機材トラブルはしょうがないけど・・。

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予定していた下見ができず、ぶっつけ本番。
そして作業前に宴会が始まっている。着いたら皆さん出来上がっていました。
明日が本番なのに夜更けまで呑みまくり。オイオイ・・・

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高妻山で・・・と言っても山頂までは行かず、登山口から15分程度が作業場所。

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ちょうど樹林帯が見事な紅葉。

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歩くだけで嬉しくなる風景です。

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初日は行政関係者、地元有志20名と講習です。
地元を代表するガイドや作業者、ソウソウたるメンメンです。

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ここは昨年の講習後に地元の方々だけで施工したという場所。
近自然工法は考え方を理解しなければなかなか進まないもんです。
まだまだ自然に近い工法ではないけれど、理解するための必ず通る通過点にあります。
この施工がどう変化するのかを見極めてください。
考え方が理解できると方法のバリエーションが格段に増えます。
期待しています。

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今回の講習場所はここ。
斜面をトラバースする場所。
踏圧によってどんどん削られている場所。よくある事例です。

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作業はいつものごとく。
できる人に出来ることをやってもらう。
かかり木も、できる人がいれば良い資材に変わる。人は大事です。

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4mと5mの木材を切り出して持ってきて!
かなりハードなお願いをしますが、実力者が多いと簡単に集まります。

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役割分担、大事です。

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ほどなく完成。施工前後です。

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木柵がある限り、崩れることはほぼありません。

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木柵工ですが、杭は使いません。
当て木と石材、横木の法面貫入などで強度を確保します。

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いつかこの場所も風景の一部になってくれると嬉しいです。
人も楽しく前向きな人が多かった。大雪山にも来てもらいたいな。

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早々に終わらせた後は場所移動。
次の日の講習場所へ。
もう20名ほどが待機してくれていました。

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凄い宿だった・・。武田信玄の時代に発見されて450年続くとか。
宿の当主も21代目。建物自体が文化財。

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最初に屋内講習・・・と言いつつこちらがメインのよう。
いろいろな方からの差し入れでこれまたすごいことに・・。
まだ現地講習前なんだけどね・・・。

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だんだん酔いが回ってくると、皆さん良くしゃべる。
「明日はどういう方法を使うのか、楽しみだ!!」
「あんなひどい崩れをどう直すのかね!!」
「別の道に付け替えなければならないと思うよ!」
この講習会を企画した主催者も
「岡崎さんが本当にあの場所をできるのか不安です・・」
オイオイ下見もせず、ぶっつけ本番でどれだけプレッシャーかけるんだよ・・。
呑みつつもかなり不安になってくる前夜でした。

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講習前の飲み会は2時頃まで続いたそうです。
でも皆さんケロッとしている。

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登山口には・・画期的!!携帯トイレ自販機。
パンの自販機を改良したそうです。かなりの売れ行きとか。
大雪山でもどうかね。

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さんざんプレッシャーをかけられたけど、現場まで歩く道中で気力みなぎりました。
どんな場所も自然には変わりない。どこかにヒントがあるはずだ。
道中もヒントだらけ。何とかなるさ。
うれしい話も聞きました。
ここは豪雪地帯で杭を使った施工はほとんど通用しないとのこと。
「積雪グライド現象」と言われる雪の圧力でどんな杭施工も崩れるそうです。
ありがたい!こちらはそういうのが得意なんです。

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現場はこんな感じでした。
踏圧と流水で大きく掘れたガリー。
梯子がかかるほど深い段差。かなりの斜度。広くなった道幅。
確かにとても大変そうに見えるけど・・・頭の中で3分で完成しました。できます。

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二日目の講習は30名。
地元の名士、林業の方、行政関係者、お隣福井県からもたくさんの参加者。
作業解説中、ソウソウたるメンメンがドレドレと聞いている。キンチョウスルネ。

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皆さんに納得してもらってから作業開始。

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どんな場所にも必ずいてくれるチェンソーマスター。

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今後の希望の方々。

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さすが山男たち。
良い石担いでます。

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現場はいつも楽しげな雰囲気。
知識や技術よりも本当は一番大切なことだと思います。
明るい雰囲気の中では「やってみよう!」いう気になります。
それを作っている人がいる。
そういう人は地元にとってとても大事な人だと思います。

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こんな感じで完成。基礎木を使った段差処理です。
施工前・中・後

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下り時もジグザグに下りられるので不安ありません。

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豪雪地帯。来年はどうなっているでしょうか。

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講師役として行った講習会でしたが、こちらも大きな収穫がありました。
一昨年から大雪山で試行してきたことを
10年も前から試して結果を出していた方々がいました。
全く同じ考え方でほとんど同じ手法で。嬉しいかぎり。
どこかにはいるかもしれないと思っていたけれど、繋がりました。
今度詳しく紹介したいと思います。

山守隊のイベントについても紹介してきました。
来年はこちらに来てほしいし、
イベントを作ってもらってこちらからも行きたいですね。
そういう繋がりができるように努力したいと思います。

とても楽しい講習会でした。
皆さん、どうもありがとう!!

どうも、スタッフのすがわらです

事務所のある当麻町は、朝から凄い霧でした。東川のほうもすごかったとか
「晴れたら大雪山の写真とってUPしよ」とか考えてたら
思いのほか仕事がはかどりまして、気づけば夕方…しかも曇ってるし…
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どんよりです…


まぁ、ブログのメインはこれ↑ではなくこちら


スタッフ3人とも「斜里岳友の会」というところ入ってます
斜里岳友の会では、夏と秋の年2回登山道整備をしていて
この動画は今年の秋の施工動画です
道脇が崩れているので、木を横に這わせて崩れを防ぐような施工をしています

今年は施工の様子を撮り貯めることができました
冬場、みなさんから忘れられないように
こんな感じでちょくちょく出してもいくので
よろしくお願いします!!

 すがわら



大雪山の作業が終わりかけたころ、
もう一つの現場が始まりました。

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愛別町にある石垣山というところ。

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雰囲気のある登山道と

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迫力のある石垣がとても魅力な山です。

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クライマーも多く、きれいに掃除されている壁もあります。

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オーバーハングした岩が飛び出す壁。

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よく登れるなぁ、と感心します。

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愛別町では毎年、登山会で小学生たちが登るようで
町の山として草刈りはしっかりと行なわれています。

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そんな山ですが、この岩壁のとある場所に
間宮林蔵や松浦武四郎が泊まったと言われる岩屋があります。

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諸説あり、本当かどうかわかりませんが、夢があります。
登山道から数十m、かなりの急傾斜の斜面を登ったところにそれはあります。
その場所は見つけるのが難しく、
けもの道のような踏み跡がついているだけの道でした。

今年愛別町から、岩屋までの道をつけてくれないか、との依頼がありました。
斜面を見た瞬間、「オイオイキビシイゼ」と思いましたが
よく見ていくと・・・見えました。
難しい斜面に少しだけ、動かぬ場所が。きっかけになる場所が。
これが見えれば何とかなります。

とは言え、いろいろキビシイよ。何よりも荷上げがキビシイ。
でも今年はハードな作業を求める山男たちがいました。
キビシイ荷上げもクリアできそうです。

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直径20㎝、長さ6mの一本ままの木材が必要。
ふつうはあり得ない作業ですが、よくやります。

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どの地域でもやりますね。

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やればできるのさ。

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苦しいことは乗り越えるもんだ。

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ものすごく大変だったけど、きっと違う場所でもこの経験が役にたつはず。

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長い木材だけでなく、短いものも必要。

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約80本、1回4~6本(30~50㎏)。
助かりましたぜ。

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施工前。こう見えて急斜面。四つん這いで歩きたいほどなんです。

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太く長い木材で基礎をつくる。テンションを下にかけつつ、繋げていきます。

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短い木で階段を作る。約130段の木柵階段。杭は1本も使っていません。

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カスガイは使うけど、カスガイが取れても
荷重がかかれば木が動かなくなるように作ってあります。
「近自然工法」
自然の作用を利用して強度が強くなっていく方法です。

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ちょうど完成した日、久しぶりの登山者。
何やら斜面をガサガサしていたと思ったら
「この辺に洞窟はありませんか?」と聞いてきた。
ナイスタイミング「今、そこまでの道ができたところだよ」と
登ってもらいました。

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不安なく登ってくれました。

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岩屋への途中、こんな場所もあります。

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岩盤の隙間、人が一人やっと通れる隙間の先には・・

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愛別と石狩川を一望できる場所が。

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難なく岩屋へ到着。
施工前は自分も滑り落ちないよう、必死で登っていた場所でした。

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しっかりと登山道が完成。ですが通いながら思っていました。
この岩屋よりもこの石垣山の雰囲気が素敵でした。
紅葉時期に施工させてもらい、久しぶりの森でした。

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実は昨年、この場所を施工してます。もう自然に成りました。嬉しいかぎり。

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町に近く、アプローチが簡単で、森の雰囲気と素晴らしい石垣。
毎年行きたい場所になりました。

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北海道でここまで難しく、技術とアイデアを駆使した場所は久しぶりです。
急斜面の作業場所は作業自体もかなりの危険がありました。
スタッフにもときに怒声を浴びせます。
気を抜くと、ケガする、ケガさせるほどたくさんの危険。
いつもここに来ると、気が張り詰めて集中したなぁ。
だけどこういう作業こそ、技術が身に付く。
山守隊スタッフも怒号にビビらず、経験を積んでほしいところです。

施工完了し、愛別町の担当者と現場確認したとき
歩いた担当者が
「これは数百万の仕事でしたね・・・ボランティアみたいな値段でしたね」だって。
フフフ・・今度は高いよ!!

おかざき

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