新年度になって早ひと月が経ちました。山守隊の岡崎です。
山はまだまだ雪多い状態ですが、大雪山・山守隊は新展開を迎えています。
昨年度末、3月28日に「一般社団法人 大雪山・山守隊」として登記しました。
昨年から引き継ぐ整備イベント以外にも、登山道の調査・記録、登山道情報の発信、維持管理システムの提言、何よりも利用者と山をつなげる様々な取り組みを行っていく予定です。

 新たな出発に先立ち、ご挨拶いたします。
 大雪山で働き始め20年以上登山道整備に関わり、整備技術の向上を目指してきました。整備業務をこなし、全国で整備技術の指導を行うようになり、自然再生の技術が身についてきたとき、思うことがありました。
一般的には、維持管理には資金が必要だとか技術が大事だとかシステムが重要だとか言われます。
確かにどれもなくてはならないものですが、そのすべてがあっても正しい管理にはならないと思っています。
 それよりも大事なのは、「山を守らなければならない」という雰囲気を作ること、だと感じています。
「崩れるのはしょうがない、そんなもんだ」という雰囲気からは、資金も高い技術も生まれてきません。ですが「この崩れを止めたい、植物を守りたい、何かできることはないか」という雰囲気があると、アイデアはたくさん出てくるように思います。一人二人の技術力が突出しても全体が変化することはありません。
 自分が学んでいる「近自然工法」の考えには、「生態系の底辺が住める環境を作る」という基本があります。生態系の底辺を支えるモノたちが活躍する環境ができたとき、自ずと生態系は成り立っていく、という考えです。
人に置き換えたとき、底辺で山を支えている人は誰になるでしょうか。
自分は、行政や山関係者ではなく、「崩れる山を憂う人」だと思っています。
山の荒廃を心配し、陰ながらにも何かできないかと思っている人が増えたからこそ、山を守る雰囲気が強まり、山守隊が出来、行政や学識者や企業とつながり、具体的な行動に続いていけるのだと思います。
 底辺で山を支えている、「山を憂う人=山守人」が活躍できる環境を作ることが、正しい維持管理システムへとつながっていく一つの方法だと思っています。
遥か先を見据えたとき、やるべきことは「山守人を増やすこと」でした。
そのためには
・山の現状をしっかりと確認すること(記録)
・山の状況を詳しく伝えること(発信)
・どうしたら良いのかを考えること(提言)
・感性を深め、できることの幅を広げていくこと(山のイベント)
などを行っていきたいと考えています。これらをしっかり続けることで次へのステップが見えてくると思っています。

 とは言え、これらのことを行っていくには技術も資金もなくてはなりません。
技術は施工する環境があればついていくのですが、資金は集めなければなりません。
昨年は発起人からの持ち出しと各自の本業の合間に段取りや準備をしていたので、これ以上の規模拡大は難しい状況でした。
そこで法人化し、事務や段取りをこなせる人を雇い、続けられるシステムを作ることにしました。
 今期から菅原圭祐君という若者が社員として入社しました(山守隊だから入隊かな・・)。
とても安月給にはなりますが、今後の山守隊を支える一員として通年雇用し、事務・段取りをこなしていけるよう頑張ってもらう予定です。
当面の資金としては、昨年度に行った環境省業務の資金と、企業助成金への申請を行い、セブンイレブンからの助成を受けることが出来ました。申請においては、昨年度皆さまと行った「たまには山へ恩返し」のイベントを継続することを目標とした申請を行ないました。この助成金は、参加・応援してくれた方々の活躍とその成果が認められたものだと思っています。
今後も、
・「自ら稼ぐ」維持管理に関わる様々な業務の受注
・「応援してもらう」賛同してくれる人や企業からの賛助金
などの資金を活用して、より多くの活動や成果を積み重ねていきたいと思っています。

 また、これから「できるだけ毎日」を目指し、大雪山で起きていることが伝わるようなブログを、まずはメインスタッフ3名(岡崎・下條・菅原)で更新していこうと思っています。
 皆さまとはFacebookやメール、電話、会って話すなどの対話をしながら意見を聞きつつ、大雪山・山守隊を作り上げていく所存です。
ご意見・批評・改善策等々、聞かせていただければ幸いです。

 荒廃が加速する山を見続けても、一人では整備技術を磨くことしかできませんでしたが、皆さまとつながり、それぞれの特技があると知ったとき、
山を守る希望が見えてきました。
 草木がゆっくりと育ち、いつの間にか生態系が出来上がっているように、山守隊もゆっくりでも着実に育っていきたいと思っています。
 今後とも、見守っていただき、御賛同いただければ幸いです。よろしくお願いいたします。

一般社団法人 大雪山・山守隊
代表 岡崎哲三


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資金だけがあっても、計画を立てても、それだけでは正しい管理にはならないと思います。

詳しい情報収集、発信や、高い技術は関わる人たちが真っ当に生活できて初めて成り立ちます。

そしてそれは登山者や地域住民の「山を大事にしよう、守っていこう」という雰囲気に支えられるものだと思っています。

大雪山・山守隊はこのベースを大事にし、情報収集、技術の鍛錬、計画の立案、資金集めなどを行い、「民・官・学」が協力した正しく機能するシステムを作っていきたいと思います。


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